私たちは子孫の残せない野菜を食べている

 タネが危ない 講演会の投稿につきまして、「遺伝子組み替えと F1 を混同しないで欲しい」という問い合わせをいただきました。その回答を掲載いたします。

* * *

 「 今のうちにこのタネを、あなたの子どもたちに残してください 」

 健康な植物に不健康な遺伝子を取り込むというと、誰しも遺伝子組み換えという言葉が先走りますが、雄性不稔は二酸化炭素の力を借りてでも行う近縁の植物同士による遺伝子の取り組みです。他方、遺伝子組み換えはミトコンドリアを持つ多細胞の高等植物に土壌細菌など単純な仕組みの原始生命の遺伝子を取り組みます。

 野口先生は決して F1 種を否定しているわけではありません。食料の安定供給は産地経営に力点を置けば、生産性に優れた F1 は必要だと考えています。他方危惧するのは、 F1 の種を効率よく大量生産するために、雄性不稔の株を利用する技術があらゆる野菜に広がり始めている点です。

 雄性不稔とは、植物の葯やおしべが退化し、花粉が機能しなくなる突然変異のことで、人間で言えば無精子症にあたります。この場合だと、夫婦の夫のほうを無精子症にしておいて、よそから別の男性の精子をもってきて受精させ、期待通りの子をつくる、というようなことを人為的に行うのが雄性不稔を利用した種作りなのです。

 雄性不稔の原因は、ミトコンドリア遺伝子の異常で、母親株からすべての子に受け継がれますが、本来ならこうした変異株は子孫を残せず、自然淘汰されます。何千、何万株の中にたった一つだけ生まれた、突然変異の不健康な個体を、わざわざ何億、何兆にも増やして食料にしているのが現状です。

 近年不妊症や無精子症が増えていますが、男性機能をなくした野菜の蔓延と果たして無関係とは断定できない、ということを野口先生の講演を拝聴し衝撃を受けた次第です。ミトコンドリアのお話、今、世界をかけて種産業が遺伝子組み換え産業とどのように結びついているのか、モンサントのターミネーター遺伝子( 自殺する遺伝子を持つ種 )、なぜミツバチは巣箱を去ったのかなど、あらゆる方面から研究し、人々に真実を伝えておられます。

 最後に、野口先生は対立をしたいわけでは全くないのです。TPP が進めば、やがて世界中のタネが、遺伝子組み換えか雄性不稔ばかりになると思います。そうなると、固定種を売ってはいけない時代が来るかもしれないから、「 今のうちにこのタネを、あなたの子どもたちに残してください 」と野口先生は仰っていました。

 『 遺伝子が異常になって子孫をつくれなくなった植物ばかりを食べていて、動物に異常は起こらないのだろうか 』、というのが野口先生の基本的な疑問でした。

 「 一般に知らせる方法がないのですよ。マスコミは絶対に取り上げない。新聞記者とか、いろいろな人が取材にくるけれど、個人的には興味を持ってくれても、社に帰ると上から潰されてしまうんですね 」と野口先生。

 わたくしは先生の信念に感涙いたしました。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

fourteen − 14 =